一般国道239号霧立峠の苫前町側ルートを大きく変える事業が始まります。
地すべりの発生しやすい箇所を避け、古丹別川に沿うルートをショートカットします。後述する地すべり災害の抜本的対策として、2013年度に「霧立防災」の名称で事業化されました。
図1・霧立峠の苫前町側。地図・ラベルでは赤、航空写真では白の線が霧立防災の新ルート。整備区間は2か所に分かれている。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 B地点-E地点を拡大 A地点を拡大 初期画面へ
新ルートは霧立峠そばの600m区間▲と災害地点を回避する4,300m区間▲に分かれます。前者は途中に延長 215m の霧立峠トンネルを建設し、後者は次の構造物を建設します(橋名は仮称)。
道路の規格は車道 6m、路肩を含めた幅員は 8.5m とし、総事業費は131億円の見込みです。測量設計に2013年度は5,000万円、2014年度は1億8,000万円を投入しました。2015年度は実施設計に入る予定です。実際の建設着手は数年先とみられ、完成時期を見通せる段階に至っておりません。
前述したように、2012年に発生した大規模な地滑りが霧立防災事業化の契機となりました。
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写真A・1977年9月28日撮影。2012年に地すべりが発生したのは、オメガ形カーブの西側(下流)である。舗装も真新しく、改良前の痕跡もうかがえる。幌加内町添牛内からカーブ手前まで砂利道の峠越えだった。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は1万分1。
地すべり発生当初のH地点付近を撮影した動画。
発生場所は図1▲のH地点です。4月26日6時39分に通行中のトラック運転手が通報しました。
留萌開発建設部は土砂崩れが発生したと発表し、安全確認のため幌加内町字添牛内-苫前町字霧立の 32.2km を通行止めにしました。現場上空と地表の調査により原因は地すべりと特定され、同日19時に規制区間が霧立小平線交点-苫前町字霧立の 14.7km へ短縮されました。
国道は幅 214.2m・高さ 42m・長さ 174m の範囲で被災し、道路の一部は古丹別川に崩落しました。地すべりで崩れた土砂は約60万立方メートルと推定されます。
復旧作業を始める前に、地すべりの状況と地質を把握する必要がありました。更なる崩落と古丹別川の浸食を防止する大型土のうを設置し、現地の観測とボーリング調査が行われます。4月の高温傾向と大量の雪融け水が一因と想定されました。
一般国道239号はオホーツク海・名寄盆地と日本海を結ぶ動脈です。早期復旧が可能な工法を検討した結果、道路と古丹別川の間に、土砂よりも体積・重量で勝る砕石を用いて補強する盛り土を採用します。
必要量約9万立方メートルの砕石は留萌市と士別市から運搬され、仮置き場にストックされました。5月24日から開始された工事は24時間体制で継続され、災害発生から2か月後の6月26日9時に全面復旧しました。目指していた7月中旬よりも2週間ほど早い供用です。
地すべり発生箇所の山側は国有林で、留萌南部森林管理署が災害関連緊急事業として法面強化や地下水の排水工を行い、2013年3月15日に完成しました。
全面供用を果たした地すべり発生箇所。2012年7月下旬・doradounaiさん撮影。
しかしながら応急対策であって恒久的な対策でないことから、霧立防災によるルート変更が打ち出されたのです。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 苫前郡苫前町字霧立国有林留萌森林計画区留萌南部森林管理署2160林班た小班地内 前 23.08m ~ 74.92m 0.263km 同上 後 23.08m ~ 114.31m 0.263km
区間 供用開始の期日 苫前郡苫前町字霧立国有林留萌森林計画区留萌南部森林管理署2160林班た小班地内 平成25年2月15日