札内停車場線は他の国道・道道と接点を持たない路線です。離島を除けば北海道唯一で、全国的にも稀有な存在でしょう。
かつては、更別幕別線が札内駅の南東で幕別町東9号踏切を渡って左折、札内停車場線との交点を右折していました。
ところが都市計画道路・みずほ通の供用開始に伴い、更別幕別線のルートはみずほ通経由に移された一方、札内停車場線の終点は変更されなかった。200m 足らずしか離れていない幹線国道に、目もくれない様子です。
この結果、道路法で規定する「主要停車場と密接な関係にある、国道または都道府県道を連絡する道路」であるにもかかわらず、市町村道にのみ連絡する珍しい路線となりました。
本稿公開時点で、Google マップおよび地理院地図といったオンライン地図は、札内停車場線が一般国道38号と接続するように描かれています。間違えるのも無理はありません。
道議会の承認を経て認定時に規定した終点を変えない限り、更別幕別線に接続させるのが筋です。最初から一般国道38号交点を終点にしていれば、こうした現象は起きなかったでしょう。
図1。赤色が札内停車場線。紫・だいだい・黄緑色は更別幕別線の旧ルート。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。
JR根室本線とは、みずほ跨線橋(橋長 79m、幅員は車道 8.5m+両方向に歩道各 3.0m)で立体交差します。1999年10月1日6時より供用を開始し、同時に東7号の途別街道踏切は車両通行止めの措置を取りました。十勝バスのあかしや団地線(現在の南商・あかしや線)は、踏切経由からみずほ通回りへ路線を変更しました。
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写真A・1998年7月19日撮影。みずほ跨線橋の橋脚が見える。翌1999年に完成した。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は3万分1。
みずほ通の開通後、東7号の途別街道踏切(通称・7号踏切)は廃止される予定でした。当初はみずほ跨線橋西側の幕別南4号踏切(通称・6号踏切)も廃止対象でしたが、幕別町が両踏切の存続を要望した末に6号踏切は存続、7号踏切は暫定的に歩行者・自転車専用として3年間使用後廃止と決まりました。
これに対し住民側は7号踏切存続の署名運動を展開、6,700人余りが賛同し、2001年5月に陳情書を提出します。車両通行止め解除と歩行者の通行存続を求める内容でした。同年9月の町議会に諮った結果、車両通行止め解除は不採択、歩行者の通行存続は採択となり、同年11月に幕別町長がJR北海道釧路支社に要望したところ、存続に前向きな回答が得られました。
これを受け、幕別町は地域住民との話し合いを重ね、7号踏切存続と引き換えに、札内駅により近い位置にある途別南4線踏切(通称・8号踏切)を廃止することで決着、JR北海道釧路支社も了承しました。
町側は話し合いの席上、8号踏切は遮断機がない第3種踏切で、踏切や連絡する道路の整備が不十分であり、周辺の国道に横断歩道が設置されていないなど、危険性の高い点を指摘し、住民の理解を得ました。
7号踏切はその後、線路敷地内の幅員と遮断機を縮小、警報機を若干移動させ、名実ともに歩行者・自転車専用の踏切へ変わりました。工事に際し、幕別町が費用を負担しています(全額か一部かは未調査)。
上記リンク先は、2015年(4月29日・12月29日)に現地を訪れた時の状況です。
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写真B・1977年9月28日撮影。みずほ通の開通後、東7号の途別街道踏切は歩行者・自転車用として残り、細い砂利道で結んでいた途別南4線踏切は廃止された。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は8千分1。
8号踏切の廃止は、札内駅と南側を結ぶ跨線橋が再整備された後です(具体的な年月日は未調査)。住民側の要望でした。
ここで、札内駅自由通路(跨線橋)の歴史を振り返ってみましょう。
根室本線南側の住民は1970年代半ばまで、駅へ行くのに踏切を遠回りしなければならず、線路を横断する人もいました。通学等で線路を挟み市街地を行き来する人も多く、跨線橋の建設が望まれていました。
幕別町は当時の国鉄と協議したのち、1978年3月の議会で町長が跨線橋建設を打ち出し、着工します。開通は同年12月1日です。札内駅の帯広寄りに位置し、橋長 58.9m・幅員 1.5m・高さ 5.3m 、札内中央町の住民が100万円を事業に寄付しました(事業費は約5,500万円)。
多くの人に利用された跨線橋も2000年代に入り、次の点から再整備する方針となりました。
さらに札内アンダーパス建設に伴い、駅近くの幕別町東9号踏切が廃止されるため、札内南大通(南5線)から駅へのアクセスが遠くなることも一因でした。架け換え工事は2005年5月に着工、2006年3月1日より供用を開始しました。全面が覆われ、勾配も緩やかになりました。エレベーターが新設されています(ストリートビューで見る▲)。
区間 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 中川郡幕別町字札内467番地先から
中川郡幕別町字札内485番地先(道道更別幕別線交点)まで18.18m から 18.18m まで 152.34m
新しい町の名称 | 旧字名 | 字の区域 |
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札内暁町、札内青葉町 | 札内、千住 | 各字の一部 |
札内春日町 | 札内、千住、依田 | 各字の一部 |
札内泉町 | 札内、依田 | 各字の一部 |
札内文京町、札内あかしや町 | 依田 | 字の一部 |
札内西町、札内桜町、札内北町、札内稔町、札内東町、札内北栄町、札内共栄町、札内新北町、札内豊町、札内堤町、札内桂町、札内若草町、札内中央町 | 札内 | 字の一部 |
さらに1994年4月1日より、字依田の一部が札内みずほ町へ変更されている。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 中川郡幕別町字依田162番1地先から
中川郡幕別町札内若草町592番11地先まで前1 10.00m から 18.00m まで 1,300.00m 中川郡幕別町札内文京町29番1地先から
中川郡幕別札内桂町569番1地先まで前2 9.00m から 18.00m まで 958.96m 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内中央町370番地先(一般国道38号交点)まで後1 10.00m から 31.50m まで 3,054.31m 一般国道38号重複 L = 14.98m 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別札内桂町569番1地先まで後2 9.00m から 28.40m まで 1,887.77m 中川郡幕別町札内共栄町166番1地先から
中川郡幕別町札内共栄町165番5地先まで後3 6.00m から 6.00m まで 195.00m
前2の区域は、1989年8月10日の北海道告示第1270号で編入された。後2は分岐点を変更し、南5線より南のみずほ通を区域に含めた。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内中央町370番地先(一般国道38号交点)まで前1 11.33m から 31.50m まで 3,049.90m 一般国道38号重複 L = 14.98m 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別札内桂町569番5地先まで前2 9.00m から 28.40m まで 1,887.77m 中川郡幕別町札内共栄町166番11地先から
中川郡幕別町札内共栄町165番5地先まで前3 6.00m から 6.00m まで 190.00m 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内中央町370番地先(一般国道38号交点)まで後1 11.33m から 31.50m まで 3,049.90m 一般国道38号重複 L = 14.98m 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内共栄町164番5地先(一般国道38号交点)まで後2 18.00m から 35.50m まで 2,382.83m 一般国道38号重複 L = 15.00m
区間 供用開始の期日 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内中央町370番地先(一般国道38号交点)まで平成11年10月1日 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内共栄町164番5地先(一般国道38号交点)まで平成11年10月1日
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内中央町370番地先(一般国道38号交点)まで前1 11.33m から 31.50m まで 3,049.90m 一般国道38号重複 L = 14.98m 中川郡幕別町字依田346番1地先から
中川郡幕別町札内共栄町164番5地先(一般国道38号交点)まで前2 18.00m から 35.50m まで 2,382.83m 一般国道38号重複 L = 15.00m 同上 後2 15.02m から 30.73m まで 2,382.83m 一般国道38号重複 L = 15.00m 道道幕別帯広芽室線重複 L = 1,145.00m
札内を通る道道では、札内清柳大橋(仮称・第二札内橋)や札内アンダーパスを生んだ幕別帯広芽室線が大きな役割を果たしており、新ルート建設も計画されています。別の機会にご紹介できればと思います。