鷹栖江丹別線は、鷹栖町20線11号で雨竜旭川線より分岐します。旭川方向から進むと、直進する形です。大成地区を通り、分水嶺の芳野峠を越え、旭川市江丹別町芳野で旭川幌加内線と合流する、約 5.7km の道道です。
これは実延長上の話で、前後に長い重複区間があります。実際の起点・終点は、およそ異なる位置に存在します。
図1・鷹栖江丹別線の路線図。赤色は認定時のルート。茶色は重用延長を、青色は実延長を、灰色は改良前の旧ルートを、紫色は旭川市道の芳野1号線・芳野2号線を表す。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 初期画面へ C地点を拡大
本田技研・鷹栖ブルーピンググラウンドの東・北側から峠を越え、江丹別ダムを経て江丹別川に沿い、旧江丹別村中心地へ至るのが認定時のルートです。1991年から、現在の芳野峠経由に変わりました。
その際、どうして起終点を実延長と一致させなかったのか。
鷹栖江丹別線を認定した1975年3月31日北海道告示第951号は、起終点を次のように定めています。
起点を維文地区、終点を江丹別町中央としている以上、起終点は移動できない。そこで、実延長の前後に重用延長を設けざるを得なかった――と考えられます。2018年4月1日現在の『道路現況調書』によると、総延長に占める重用延長の割合は 55.2 パーセントで、実延長を上回ります。旧ルートの延長や現ルートの重用延長等を勘案すると、実際の起点は26線とみてよさそうです。図1▲ではA地点にあたります。
起点近くに維文小学校の跡があります(注1▼)。江丹別ダムは1965年着工、1974年に完成したかんがい用水目的のダムです。旧江丹別村は1924(大正13)年6月4日に鷹栖村から分村し、1955(昭和30)年4月1日に旭川市と合併しました。
旧ルートは未舗装・未改良区間が残っており、冬期は通行止めとなります。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 上川郡鷹栖町4258番地先(道道雨竜旭川線交点)から
旭川市江丹別町中央103番1地先(道道旭川幌加内線交点)まで前 8.15m から 40.00m まで 9,805.00m 道道雨竜旭川線重複 L = 10.00m
道道旭川幌加内線重複 L = 7.00m上川郡鷹栖町2454番1地先から
旭川市江丹別町中央106番地先まで後 10.50m から 32.00m まで 13,393.16m 道道雨竜旭川線重複 L = 4,835.58m
道道旭川幌加内線重複 L = 2,391.00m
現ルートは昇格後も大半が未改良の状態が続き、芳野峠はシーズンにより時期が前後したものの、概ね11月上旬-4月上旬まで冬期通行止めでした。
未舗装区間を拡幅・舗装する事業が、総事業費5億9,000万円を投じて、2007年度より鷹栖町側から始まりました。
『道路現況調書』によると、2006年4月1日時点で 5,249m あった未舗装延長は2012年4月1日現在で 2,555m まで減り(注2▼)、2013年4月1日現在でゼロになりました。2011年度から、市道芳野1号線・芳野2号線経由で冬期も通り抜けできるようになり、同年度は冬期通行止めにした旭川幌加内線交点寄りの未舗装区間改良が完了した2012年度より、全線の通年通行が実現しています。
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写真A・2002年9月2日撮影。実延長終点付近の未改良・未舗装区間。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は2万分1。
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写真B・2014年9月2日撮影。改良後は線形が緩やかになり、交差点もT字路に変更されている。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。縮尺1万分1・解像度 400dpi の写真をトリミング・縮小。
鷹栖江丹別線改良を促した要因の一つが、江丹別町芳野にある旭川市廃棄物最終処分場です。図1▲のF地点に位置します。
旭川市のゴミは、近文清掃工場で焼却されるほか、最終処分場で埋め立てられます。かつては湿地等の埋め立てに使われていたゴミを、1965年から処分場で埋め立てるようになりました。表1は江丹別町内の処分場一覧です。他地域の処分場は閉鎖され、現在はありません。
名称 | 埋立期間 | 面積と容量 | 埋立廃棄物 |
---|---|---|---|
嵐山廃棄物処分場 | 1970年8月-1972年7月 | 2.1ha、25万 | 区分なし、事業系ごみ含む。閉鎖。 |
共和廃棄物処分場 | 1972年7月-1976年5月 | 8.2ha、83万 | 区分なし、事業系ごみ含む。閉鎖。 |
新共和廃棄物処分場 | 1976年5月-1979年8月 | 8.2ha、77万 | 区分なし、事業系ごみ含む。閉鎖。 |
中園廃棄物最終処分場 | 1979年6月-2003年6月 | 49.8ha、660万 | 生ごみ含む家庭ごみ、事業系ごみ、産業廃棄物(-2001年3月)。閉鎖。 |
旭川廃棄物処理センター | 2002年4月- | 2.5ha、16万(安定型) 3.1ha、35万(管理型) | 産業廃棄物 |
旭川市廃棄物最終処分場 | 2003年7月- | 13.2ha、184万 | 家庭ごみ、事業系一般廃棄物 |
芳野に設置された処分場の使用年数は15年(2018年3月まで)とされており、旭川市ではゴミ分別の徹底や減量に取り組むほか、新たな処分場の選定に動き出しています。
問題の一つが、処分場までの運搬です。
必然的に旭川幌加内線や旭川多度志線・共和嵐山線経由で運ばざるを得ず、途中にある嵐山・中園地区住民からルート分散の要望が出ていました。騒音や衛生・交通安全上の問題もありました。
そこで旭川市は、鷹栖江丹別線の改良を当時の旭川土木現業所へ要望するとともに、同線と図1▲のF地点に近いT字路を結び、処分場へ直結する市道芳野1号線の整備に乗り出します。処分場稼働開始から8年後に市道が完成、道道の拡幅舗装・通年通行も実現し、鷹栖町側の了承を得て、運搬車両の一部を同町経由へ変更しました(注3▼)。
旭川幌加内線とT字路を結ぶ芳野2号線も整備されています。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 上川郡鷹栖町5652番2地先から
旭川市江丹別町芳野215番1地先(道道旭川幌加内線交点)まで前1 11.34m から 31.83m まで 3,332.53m 道道旭川幌加内線重複 L = 18.53m 同上 後1 11.34m から 31.83m まで 3,332.53m 道道旭川幌加内線重複 L = 18.53m 上川郡鷹栖町5652番2地先から
旭川市江丹別町芳野214番1地先(道道旭川幌加内線交点)まで後2 16.71m から 64.75m まで 2,901.03m 道道旭川幌加内線重複 L = 9.44m
区間 供用開始の期日 上川郡鷹栖町5656番1地先から
旭川市江丹別町芳野122番7地先まで平成24年1月6日
区間 供用開始の期日 旭川市江丹別町芳野122番7地先から
旭川市江丹別町芳野214番1地先まで平成24年5月25日
いずれも旭川市から鷹栖町に向けて、doradounaiさん撮影です。
改良前。2008年6月中旬走行。
改良後。2014年6月上旬走行。