図2・1970年代。上押帯(かみおしょっぷ)小中学校跡から東へ横断する道が居辺本別線である。幅員が狭く、未整備だったことがうかがえる。5万分1地形図「高島」(1974年修正)を約1.8倍に拡大。
上押帯から美蘭別にかけ、押帯台地と呼ばれる標高の高い平地が横たわり、西から中押帯川・押帯川・美蘭別川が谷を刻んでいる(Google マップの3Dビューで見る。環境により、表示に時間がかかります)。
以前の居辺本別線は中押帯川・押帯川の谷を忠実に上り下りするため、急曲線・急勾配が連続していた。ここに改良の手が入ったのは1990年代後半である。中押帯川は上押帯大橋(橋長 118m・1997年完成)で一跨ぎし、押帯川の谷へは緩勾配で上下し、谷底よりやや高い位置に押帯橋(橋長 30.6m・1996年完成)を架設した。現ルートへの切り替えは1998年に完了した。
図3に新旧ルートの違いを示してある。旧道は現ルートに取り込まれたり、農地化したりで消えた個所が多い。
図3。上押帯から美蘭別への地理院地図に、1977年撮影の空中写真を重ねた。初期画面は空中写真の透過率を 50% に設定していますが、「情報」「機能」ボタンから表示等の設定を変更できます。また表示範囲は自由に移動可能です。操作方法は地理院地図のヘルプをご参照ください。初期画面を表示するには、リロードしてください。
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写真E・1997年7月26日撮影。上押帯-美蘭別の切り替えは後半を迎えていた。ルート中間に未着手部分が残っている。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は3万分1。
押帯台地と美蘭別川の谷を結ぶ最後の未改良区間は、旧道を大きく迂回するルートで曲線半径と勾配を緩和した。後編では、S字カーブに替わるオメガカーブを紹介したい。前編同様、終点→起点方向で記述する。
写真F・本別町上美蘭別周辺。赤の線は町道へ移管された旧道道、青の線は廃道になった旧道道を表す。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 上押帯-美蘭別を表示 加筆の線を非表示 マーカーを非表示 初期画面へ
写真9の簡易ゲートから美蘭別大橋の約 270m は2003年度に着工、2008年9月の時点で舗装工まで完了していた(参考写真。ページの一番下に掲載)。廃道化された旧道の接続部分は、前後 200m 弱が2005年度~2007年度に築堤化されて森の一部分となり、跡形もなくなっている。
旧道のS字カーブは美蘭別川右岸の谷の斜面であり、押帯台地へ上る形になる。写真11・14の標識が示すように、24時間雨量が 100mm を超えた場合は土砂崩れの恐れで通行止めになる、異常気象時通行規制区間に指定されていた。
美蘭別大橋開通後も道道の一部であった旧道は、2015年に本別町へ移管された。移管を前に本別町では、2013年の第1回定例議会で旧道を町道に編入する議案を提出、可決されている。既存の町道581号美蘭別上押帯道路の起点を変更した(写真F▲のK地点→F地点、変更総延長 911.6m)。
「美蘭別上押帯道路」はK地点を北北西へ直進する未舗装道路で、詳細な道筋は割愛するが、途中から地形図にも掲載されていない細道に入り、押帯川の谷を渡るルートである。
写真を提供していただいたツイッターフォロワーさんによると、2017年秋の時点でも写真13・14の風景に変化がないとのことだ。
切り替え区間最大の構造物が美蘭別大橋である(橋長 129.3m・幅員 7m、2011年2月完成)。オメガカーブの一部を構成しており、曲線を描く。2008年度~2009年度に橋脚・橋台の下部工事、2010年度に床版の上部工事を施工した。谷の斜面中腹に架設しており、桟道橋に含まれる。
2011年度から写真19の地点-美蘭別大橋までの路盤・舗装工事に入り、事業は完了した。2012年3月を目指していた開通時期は1年遅れ、2013年4月下旬にずれ込んでいる。
切り替え区間起点はT字路から十字路に改築した際、新ルートを優先道路とし、オメガカーブの一部を構成するよう変更された。十字路を境に、両方向とも谷への下り勾配となっている。
延長 2,460m の隘路解消事業は12年の歳月を費やし、居辺本別線は全線改良済みになった。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 中川郡本別町美蘭別444番3地先から
中川郡本別町美蘭別445番3地先まで前1 12.00m から 37.97m まで 995.94m 同上 後1 12.00m から 37.97m まで 995.94m 中川郡本別町美蘭別444番3地先から
中川郡本別町美蘭別462番2地先まで後2 19.71m から 110.42m まで 990.00m
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 中川郡本別町美蘭別444番3地先から
中川郡本別町美蘭別445番2地先まで前1 12.00m から 37.97m まで 995.94m 中川郡本別町美蘭別444番3地先から
中川郡本別町美蘭別462番2地先まで前2 19.71m から 110.42m まで 990.00m 中川郡本別町美蘭別444番3地先から
中川郡本別町美蘭別445番2地先まで後1 12.00m から 37.97m まで 995.94m 中川郡本別町美蘭別444番3地先から
中川郡本別町美蘭別445番9地先まで後2 11.00m から 110.42m まで 1,543.35m
区間 供用開始の期日 中川郡本別町美蘭別443番3地先から 中川郡本別町美蘭別445番9地先まで 平成25年4月26日午前10時
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 中川郡本別町美蘭別444番3地先から
中川郡本別町美蘭別445番1地先まで前1 12.00m から 39.16m まで 1,165.50m 同上 前2 11.00m から 110.43m まで 1,700.00m 同上 後2 11.00m から 110.43m まで 1,700.00m
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写真G・2004年7月30日撮影。2003年開通地点から、美蘭別大橋手前まで樹を伐採した跡が見られる。この時点で全体のルートは決まっていたのだが、完成まで約10年を要した。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は3万分1。
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写真H・2016年8月7日撮影。開通後、距離は長くなった一方、勾配やカーブは緩やかになった。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング・縮小。元画像の縮尺は2万分1。