岩見沢市(旧栗沢町。2006年3月27日合併)のJR栗沢駅と栗沢南幌線・中幌向栗沢線交点を結ぶ栗沢停車場線は、道路現況調書による実延長が 50m となっています(表1を参照。延長の単位はメートル)。
ところが、栗沢停車場線に関する過去の告示をみると、実延長が 45m または 41m と読み取れる記述がありました。同線の図面を3種類入手し、検証しました。
路線名 | 市町村 | 総延長 | 重用延長 | 実延長 | 最新告示年月日 | 備考 |
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遠別停車場線 | 遠別町 | 49 | 7 | 42 | 1962年11月8日 | |
小頓別停車場線 | 中頓別町 | 55 | 9 | 46 | 1966年2月26日 | 橋梁あり。 |
砂川停車場線 | 砂川市 | 64 | 14 | 50 | 1977年5月4日 | |
栗沢停車場線 | 岩見沢市 | 59 | 9 | 50 | 2002年3月19日 | |
新紋別空港線 | 紋別市 | 81 | 26 | 55 | 1999年7月27日 | |
有珠停車場線 | 伊達市 | 66 | 10 | 56 | 1964年12月22日 | |
芽室停車場線 | 芽室町 | 72 | 11 | 61 | 2004年3月19日 | 終点位置を2度変更している。 |
中標津停車場線 | 中標津町 | 68 | 68 | 区域を決定した告示は未発見。 | ||
美唄停車場線 | 美唄市 | 83 | 14 | 69 | 2002年2月22日 | |
風連停車場線 | 名寄市 | 80 | 9 | 71 | 1963年7月19日 | |
女満別空港インター線 | 大空町 | 100 | 12 | 88 | 2005年3月25日 | |
士別剣淵インター線 | 士別市 | 105 | 13 | 92 | 2003年9月30日 | |
智恵文停車場線 | 名寄市 | 2,294 | 2,195 | 99 | 1986年1月20日 |
実延長を検証する前に、栗沢停車場線の総延長と重用延長を検証しましょう。
1976年の告示を見るに、先の数値は誤っていると、断言していいと思います。
区間 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 空知郡栗沢町北本町1番1地先(日本国有鉄道敷地界)から
空知郡栗沢町北本町4番地先(道道栗沢南幌線交点)まで17.45m から 18.18m まで 59.48m 空知郡栗沢町北本町4番地先から
空知郡栗沢町東本町22番2地先(一般国道234号交点)まで9.08m から 18.18m まで 524.84m 道道栗沢南幌線重用区間
上記告示は、認定時の起終点に則って定めたといえます。
整理番号 路線名 起点 終点 重要な経過地 道路法該当号 374 栗沢停車場線 栗沢停車場 空知郡栗沢町 2級国道岩見沢苫小牧線交点 空知郡栗沢町 5
したがって栗沢停車場線の終点は、あくまで図1のB地点であり、栗沢南幌線と重複すると考えます。
図1・岩見沢市栗沢町中心部の地図。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 広域表示 初期画面へ
区域決定からさらに15年半後の1992年、栗沢停車場線の区域変更が告示されます。両方向の歩道を拡幅する事業が実施されたためです。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 空知郡栗沢町北本町1番1地先から
空知郡栗沢町東本町22番2地先(一般国道234号交点)まで前 9.09m から 18.18m まで 583.74m 道道栗沢南幌線重複 L = 509.54m 一般国道234号重複 L = 23.80m 同上 後 9.09m から 31.31m まで 579.20m 道道栗沢南幌線重複 L = 510.40m 一般国道234号重複 L = 23.80m
1995年10月に測量が実施され、翌1996年告示されました。理由は「道路区域調査による区域の確定」となっています。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 空知郡栗沢町北本町1番1地先から
空知郡栗沢町北本町4番1地先まで前 20.00m から 31.31m まで 50.00m 道道栗沢南幌線重複 L = 9.00m 同上 後 22.91m から 31.31m まで 50.00m 道道栗沢南幌線重複 L = 9.00m
最も新しい告示は2002年です。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 空知郡栗沢町北本町1番1地先から
空知郡栗沢町北本町4番1地先まで前 20.00m から 31.34m まで 50.88m 同上 後 22.89m から 31.31m まで 50.88m
検証の結果、栗沢停車場線は実延長 50m、重用延長 534m、総延長 584m ではないかとの結論に達しました。
表1▲の道道は短距離にもかかわらず、重用延長があります。これはなぜでしょうか。
図2は、国道と都道府県道の交差点です。丸で囲んだ部分が交点にあたります。A・B区域が都道府県道の重用延長で、終点の地番はA区域、起点の地番はB区域の、それぞれ最寄りに位置する地番です。重複の境界は、上位道路の中心線上です。
両者が同格の場合は、番号の小さい道路が上位となります。
茂世丑最上線の終点は当初、図1▲のB地点にありました。現在地への変更は1980年からです。
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写真A・1978年9月2日撮影。建設中の道立福祉村と道道茂世丑最上線新ルート。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、83.5%に縮小。元画像の縮尺は2万分1。
茂世丑最上線現ルートの沿線に道立福祉村が建設されました。1972年に、堂垣内北海道知事が表明した構想です。道内33市町村が誘致に名乗りを挙げ、調査の結果栗沢町に決定し、1979年より開村しました。福祉村の管理・運営は北海道社会福祉事業団に委託し、2006年4月からは移管され「北海道社会福祉事業団福祉村」へ改称しました。
福祉村は地域との開かれた交流を通して、障がい者が生きがいを持てる暮らしができることを目指した施設です。詳細は、北海道社会福祉事業団福祉村のサイトをご参照ください。
あくまで想像ですが、道立施設へのアクセスルートとして、道道の新ルートを建設したのではないでしょうか。
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写真B・2017年6月12日撮影。道立福祉村を回る道道茂世丑最上線。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、40%に縮小。元画像の縮尺は1万分1。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 空知郡栗沢町字最上244番1地先から
空知郡栗沢町字最上289番1地先(一般国道234号交点)まで前 15.00m から 30.50m まで 1,000.00m 一般国道234号重複 L = 15.46m 空知郡栗沢町字最上244番1地先から
空知郡栗沢町字最上302番5地先(一般国道234号交点)まで後 16.10m から 55.00m まで 2,636.04m 一般国道234号重複 L = 15.17m