一般国道232号天塩バイパスは、天塩町の北川口地区から更岸地区までの約 8km です。天塩市街地の交通緩和と、地吹雪発生で起こる冬期の交通障害解消を主目的に計画されました。
1987年3月30日に廃止された、旧国鉄羽幌線跡を大部分で活用しているのが特徴です。市街地より北のルートは地吹雪を回避するため、鉄道防風林を生かしています。
1994年度に着工し、2003年に市街地区間が開通しました。さらに南側の新旧ルートの交点を改良し、2004年に旧ルートは町道へ移管されました。北側の新旧ルート交点は踏切の跡です。
本稿公開時点で残り区間の調査・設計は終了しており、数年以内の全線開通を目指していました。2008年度末の事業進捗率は85%に達しています。
ところが、国土交通省の検証で費用対効果が低いとされ、2009年度から工事が一旦凍結されました。事業内容の見直し・再評価を行い、工事の継続が決まります。
残りの区間は2012年3月28日12時に開通しました。用地取得・軟弱地盤対策に時間を要したため
、事業完了は2009年度の予定が2011年度に延びました。また計画見直しで、総事業費は当初の約53億円から約50億円に圧縮されています。
年月日 | 告示の番号 | 告示の内容 |
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1994年5月6日 | 建設省第1356号 | 市街地区間のうち、1,177m の区域を決定。 |
1995年12月6日 | 建設省第1969号 | 市街地区間のうち、500m の区域を決定。 |
1998年5月11日 | 建設省第1257号 | 市街地区間のうち、1,109m の区域を決定。市街地区間全ルートが決まる。 |
2000年3月16日 | 建設省第511号 | 郊外区間のうち、2,277m の区域を決定。 |
2002年3月5日 | 道開発局第28号 | 郊外区間のうち、1,310m の区域を決定。 |
2003年3月3日 | 道開発局第25号 | 告示の詳細▼を参照。 |
2003年3月17日 | 道開発局第31号 | 告示の詳細▼を参照。 |
2004年4月1日 | 道開発局第38号 | 告示の詳細▼を参照。 |
2007年11月15日 | 道開発局第90号 | 郊外区間のうち、1,116m の区域を決定。郊外区間 4,703m の全ルートが決まる。 |
2010年7月2日 | 道開発局第89号 | 郊外区間のうち、パイパス延長が 185m 長くなり、従来ルート延長が 102m 短くなった。新旧ルート交点部分の変更と考えられる。 |
2012年3月28日 | 道開発局第43号 | 郊外区間のパイパス供用開始。従来ルートの国道指定は解除されていない。 |
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写真A・1999年9月23日撮影。旧国鉄羽幌線の廃線跡を活用して建設中の天塩バイパス。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は3万分1。
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写真B・2001年8月18日撮影。新旧ルートが分かれる部分。バイパスは羽幌線跡から離れる。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は4万分1。
区間 供用開始の期日 天塩郡天塩町字川口5692番2から 同町字サラキシ1092番11まで 平成15年3月3日
区間 天塩郡天塩町字川口5692番2から
同町字サラキシ1092番4まで変更前後別 敷地の幅員 延長 前A 11.00m ~ 54.00m 3.076km 前B・C・D・E 27.50m ~ 66.00m 2.789km 後B・C・D・E 27.50m ~ 66.00m 2.789km 備考 上記A・B・C・D及びEは、関係図面に表示する敷地の区分をいう。
区間 変更前後別 敷地の幅員 延長 天塩郡天塩町字川口5692番2から 同町字サラキシ7240番まで 前A 27.50m ~ 66.00m 2.232km 同上 後A 27.50m ~ 66.00m 2.232km 同上 後B 14.50m ~ 54.00m 2.575km
備考 上記A及びBは、関係図面に表示する敷地の区分をいう。
区間 変更前後別 敷地の幅員 延長 天塩郡天塩町字川口5692番2から 同町字サラキシ7240番まで 前A 27.50m ~ 66.00m 2.232km 同上 前B 14.50m ~ 54.00m 2.575km 同上 後A 27.50m ~ 66.00m 2.232km
備考 上記A及びBは、関係図面に表示する敷地の区分をいう。
図1・天塩町中心部の地図。旧国道のうち赤色は町道へ移管、灰色は廃道になった部分。またE地点-D地点は道道円山天塩停車場線の旧ルートでもある。青色は天塩港線の旧ルート、紫色はバイパス開通に伴い道道天塩港線の一部になった区間、緑色は道道稚内天塩線になった区間。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 広域表示 初期画面へ
稚内天塩線と天塩港線の終点位置は、一般国道232号天塩バイパスの供用開始に伴って移動しました。
また同時に、円山天塩停車場線の重複区間が変更されています。同線が重複していた図1のD地点からE地点までを含めて、市街地を貫く旧国道が町道へ移管されたためです。この結果D地点-E地点は、逆コの字型に遠回りするルートとなりました。
国道の町道移管と道道のルート変更は同時期に告示されず、実に1年あまりの間隔が開いています。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 天塩郡天塩町山手裏通4丁目19番4地先から
天塩郡天塩町新栄通4丁目1144番1地先まで前 21.82m から 21.82m まで 80.00m 天塩郡天塩町山手裏通4丁目19番4地先から
天塩郡天塩町字川口4536番2地先(一般国道232号交点)まで後 21.82m から 30.50m まで 323.17m 一般国道232号重複 L = 21.00m
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 天塩郡天塩町新栄通6丁目1616番1地先から
天塩郡天塩町新栄通6丁目1148番3地先まで前 15.08m から 15.35m まで 65.60m 天塩郡天塩町新栄通6丁目1616番1地先から
天塩郡天塩町字川口4536番12地先(一般国道232号交点)まで後 15.08m から 16.75m まで 299.87m 一般国道232号重複 L = 16.45m
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 天塩郡天塩町新地通3丁目1340番1地先から
天塩郡天塩町字川口2535番地先まで前 16.36m から 21.82m まで 495.96m 同上 後 14.54m から 21.82m まで 1,000.02m 道道稚内天塩線重複 L = 565.00m
道道天塩港線重複 L = 437.00m
図1▲をご覧いただくと分かるように、天塩港線と円山天塩停車場線の終点位置は微妙に異なります。
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写真C・1977年10月15日撮影。旧国鉄羽幌線天塩駅前で交差する町道が新開通線。ちなみに「しんかいどおりせん」と読む。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング・色補正。縮尺は1万分1。
国道の天塩バイパスが鉄道廃線跡に建設されたのに対し、円山天塩停車場線の終点はあくまで旧駅前だからです。
天塩港線は旧終点と現終点、つまり図1▲のE地点からF地点までに2本の天塩町道と交差します。Aコープてしおの前にて新地通線、旧駅前にて新開通線です。円山天塩停車場線の終点は、旧駅前交差点の中心点から 10m、E地点から 187m 進んだ地点にあります。さらに約 47m 進んだ国道交点が天塩港線の終点となります。
『北海道 廃線駅跡写真集』(亀畑清隆著・2006年柏艪舎刊)の62ページに、国道バイパス上から旧国鉄天塩駅構内を南望する写真が掲載されています。同書は駅跡周辺の道路を撮影した写真が多く、道路へ興味を持つ方にも楽しめる写真集です。