釧路西港線は、釧路港西港区を起点とし、JR根室本線を星ヶ浦跨線橋(「星が浦」ではない)で渡り、新富士停車場線交点で左折し、西進してJR線の高架下をくぐり、星が浦西通交点で終わる路線――に見えます。
実延長上は、確かにその通りです。
ところが西港区から始まる区間の終点は、一般国道38号交点なのです。これとは別に、新富士停車場線交点を起点とし西進する区間を持つ、2本立ての道道なのです。新富士停車場線交点から国道交点までは重複するため、1本の路線に見えてしまうのです。
図1・釧路西港線・新富士停車場線の路線図。緑色と赤色の線は新富士停車場線の旧ルート。紫色は2009年3月に供用を開始した区間。同時供用の星が浦西通は茶色、臨港道路は青色。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 初期画面へ 線を消す
釧路西IC付近を表示。緑の線は釧路環状線のルート変更部分を、紺色は釧路西インター線を、黄色は釧路新道の新規開通区間を表す。
どのような経緯で、現在の形になったのでしょう。
もともと釧路西港線は、釧路港西港と一般国道38号を結ぶ路線でした。図1▲ではA-K-B間を指します。1997年に、西進する釧路市の都市計画道路・星が浦海岸通(K-L間)を昇格させます。その際、終点を図1▲のB地点からL地点へ移動させなかったのです。
説明がややこしくなりました。
ここで認定の告示、1975年3月31日北海道告示第951号を見て整理しましょう。
図1▲のL地点は国道と接していない。したがって、K-B間は残す必要がある。結果として、見た目は1本で実際は2本という、なんとも奇妙な形態になってしまった…と、考えられます。
昇格当初、星が浦海岸通の市道星が浦南8線交点から終点Bまで、図1▲の紫色の区間は未開通でした。
この区間の工事に先立ち、JR根室本線が高架化されました。延長は 2.1km で、総工費は約69億円。2005年11月に着工し、供用開始は2008年11月17日です。
西港区の第4ふ頭と国道を結ぶ臨港道路建設に伴い、交通をより円滑にする目的で、JRは高架化されました。釧路西港線も立体交差するため、JR線完成後に工事が本格化しました。
星が浦海岸通はJRの星が浦海岸通架道橋をくぐり、別途前(べとまい)川を渡り、星が浦川の手前が終点です。市道星が浦西通と連絡し、国道へ抜ける新ルートが生まれました。開通は2009年3月16日です。
| 認定日 | 1975(昭和50)年3月31日 |
|---|---|
| 起点A | 釧路市西港2丁目101番11地先 |
| 終点A | 釧路市星が浦大通1丁目5番32地先(一般国道38号交点) |
| 起点B | 釧路市新富士町6丁目1番6地先(道道新富士停車場線交点) |
| 終点B | 釧路市星が浦南5丁目2番1地先 |
| 備 考 | 新富士町6丁目-星が浦大通1丁目は、道道新富士停車場線と重複。 |
| 認定日 | 1966(昭和41)年3月31日 |
|---|---|
| 起 点 | 釧路市新富士町3丁目1番5地先 |
| 終 点 | 釧路市星が浦大通1丁目5番32地先(一般国道38号交点) |
| 備 考 | 当初は新富士通・昭和橋通経由で、鳥取大通5丁目が終点だった。1996年より、鉄北幹線通・星が浦東通経由となる。道道釧路鶴居弟子屈線とも接点を持つ。 |
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 釧路市新富士町6丁目1番6地先から
釧路市星が浦大通1丁目5番32地先(一般国道38号交点)まで前1 32.00m から 54.00m まで 1,018.21m 道道新富士停車場線重複 L = 1,005.50m
一般国道38号重複 L = 12.71m同上 後1 32.00m から 54.00m まで 1,018.21m 道道新富士停車場線重複 L = 1,005.50m
一般国道38号重複 L = 12.71m釧路市新富士町6丁目1番6地先から
釧路市星が浦南5丁目2番2地先まで後2 22.25m から 54.00m まで 2,194.00m 道道新富士停車場線重複 L = 43.40m
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 供用開始の期日 釧路市星が浦南2丁目2番10地先から
釧路市星が浦南5丁目2番1地先まで前 22.25m から 43.60m まで 1,082.00m 同上 後 29.00m から 44.85m まで 1,080.80m 平成21年3月16日
釧路西港線の終点は、1年間だけ延長されたことがあります。
1993年4月9日に釧路市北園へ変更したのです。翌月、延長部分は主要地方道釧路インター線に指定されます。釧路西インター線は翌年4月1日に認定され(2016年3月12日、現在の路線名に変更)、釧路西港線の終点は図1▲のB地点に戻りました。
主要地方道指定を受けるための、一時的な措置であるのは明らかです。
釧路西インター線を1993年に認定すれば、分かりやすい形になったでしょう。
同様の事例は登別室蘭インター線にも見られます。幌別停車場線の記事をご参照ください。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 釧路市星が浦大通1丁目5番33地先から
釧路市星が浦大通1丁目5番32地先(一般国道38号交点)まで前 32.00m から 34.83m まで 65.73m 一般国道38号重複 L = 12.79m 釧路市星が浦大通1丁目5番33地先から
釧路市北園41番290地先まで後 19.00m から 47.00m まで 2,301.06m 一般国道38号重複 L = 25.68m
道道釧路鶴居弟子屈線重複 L = 32.00m
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 釧路市星が浦大通1丁目5番33地先から
釧路市北園41番290地先まで前 19.00m から 45.00m まで 2,301.80m 一般国道38号重複 L = 25.60m
道道釧路鶴居弟子屈線重複 L = 30.50m釧路市星が浦大通1丁目5番33地先から
釧路市星が浦大通1丁目5番32地先(一般国道38号交点)まで後 32.00m から 33.50m まで 65.21m 一般国道38号重複 L = 12.71m
重複する新富士停車場線は1966(昭和41)年3月31日認定です。
当初のルートは、図1▲の緑色+赤色です。釧路西港線との接点はありませんでした。
1990年代になると、段階的にルートを切り替えます。
この結果、新富士停車場線の終点は釧路西港線の終点Aと同じ、図1▲のB地点になりました。
釧路鶴居弟子屈線の起点から鳥取にかけてのルートも1970年代と現在とではまるで異なっており、いずれは記事にまとめればと思っています。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 釧路市新富士町3丁目1番3地先から
釧路市鳥取南5丁目1番2地先まで前1 22.00m から 27.66m まで 1,000.00m 同上 前2 22.00m から 38.97m まで 1,013.47m 道道釧路鶴居弟子屈線重複 L = 37.05m 同上 後2 22.00m から 38.97m まで 1,013.47m 道道釧路鶴居弟子屈線重複 L = 37.05m
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 釧路市鳥取南4丁目4番7地先から
釧路市鳥取大通5丁目3番4地先(一般国道38号交点)まで前1 22.00m から 39.00m まで 868.21m 一般国道38号重複 L = 12.66m 釧路市鳥取南4丁目4番7地先から
釧路市星が浦大通1丁目5番32地先(一般国道38号交点)まで前2 22.00m から 39.00m まで 1,891.71m 一般国道38号重複 L = 12.71m 同上 後2 22.00m から 41.00m まで 1,891.71m 一般国道38号重複 L = 12.71m
いずれもdoradounaiさん撮影です。
道道釧路西港線の実延長区間、起点Aから終点Bまで。2015年7月中旬走行。
道道新富士停車場線、起点から終点まで。2014年2月上旬走行。