昭和50年代で時が止まった地形図

5万分1地形図は、2009年6月1日刊行の8面(北海道は「暑寒別岳」の1面)を最後に、新版発行が中止されました。増刷のみ継続されています。

大半の図幅は、元号でいう平成以降の発行です。ところが、昭和時代に発行されたまま更新されなかった図幅も存在します。特に50年代(1975年-1984年)更新の図幅は10面しかありません。「八丈所属諸島」(1981年編集)と、世界遺産で有名な「白川村」(1984年修正)を除き、8面が北海道です。

本稿では、各図幅の主な範囲と特徴を記述します。

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  • 地形図
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「滝上」(1975年編集)
詳しくは、渚滑線が現役の地形図をご覧ください。旧国鉄渚滑線が描かれているのは圧巻。全国で最も更新が古い5万分1地形図です。
5万分の1地形図「滝上」(昭和50年編集)。
図1。紋別市上渚滑町和訓辺の集落と渚滑線奥東仮乗降場。紋別市立和訓辺小学校は1976年3月に閉校した。5万分1地形図「滝上」(1975年編集)を約2.3倍に拡大。
「佐幌岳」(1976年編集)
新得町北部。1984年竣工の十勝ダムと佐幌ダムの建設前が描かれ、忠別清水線のルートが大きく異なります。作成の元となった2万5千分1地形図4面は、1990年-2001年に更新されました。
5万分の1地形図「佐幌岳」(昭和51年編集)。
図2。現在、佐幌岳東麓はサホロリゾートへ変貌し、その東に佐幌ダムが建設されている。5万分1地形図「佐幌岳」(1976年編集)を約2.3倍に拡大。
「西達布」(1976年編集)
南富良野町北部と富良野市の東大演習林。『北の国から』の舞台・麓郷市街地も描かれています。東山富良野停車場線のルートが違います。作成の元となった2万5千分1地形図4面は、1990年-2001年に更新されました。
5万分の1地形図「西達布」(昭和51年編集)。
図3。テレビドラマで一躍有名になった富良野市麓郷の集落。5万分1地形図「西達布」(1976年編集)を約2.3倍に拡大。
「落合」(1983年修正)
南富良野町南部と占冠村東部。トマムリゾートの開発前で、トマム駅も石勝高原駅を名乗っています。現在の夕張新得線が一部未改良です。作成の元となった2万5千分1地形図4面は、1996年-2007年に更新されました。
5万分の1地形図「落合」(昭和58年修正)。
図4。石勝線が開業して間もない頃。現在、トマム駅の北はリゾート地が広がり、南を道東自動車道が通っている。5万分1地形図「落合」(1983年修正)を約2.3倍に拡大。
「山部」(1983年修正)
南富良野町の下金山と、富良野市の山部地区・東大演習林。布部岳や芦別岳など。山部市街が現在よりやや小さく、廃校になった学校の位置が分かります。作成の元となった2万5千分1地形図4面は、1996年-2008年に更新されました。
5万分の1地形図「山部」(昭和58年修正)。
図5。「新登山道」「旧登山道」の注記があった、芦別岳登山道。5万分1地形図「山部」(1983年修正)を約1.5倍に拡大。
「石狩金山」(1984年修正)
南富良野町の金山と、占冠村北部。一般国道237号金山峠の旧道や夕張新得線の旧道、根室本線旧鹿越信号場が描かれています。作成の元となった2万5千分1地形図4面は、1990年-2008年に更新されました。
5万分の1地形図「石狩金山」(昭和59年修正)。
図6。金山峠の現ルートを初めて通ったのは、1982年4月だった。車窓から、旧道の占冠側入口近くに「警笛鳴らせ」の標識が見えたのを鮮明に覚えている。5万分1地形図「石狩金山」(1984年修正)を約1.5倍に拡大。
「阿寒湖」(1984年修正)
阿寒湖とパンケトー・ペンケトー、雄阿寒岳と雌阿寒岳、一般国道240号釧北峠の旧道、阿寒公園鶴居線の鶴見峠などが一度に眺められます。作成の元となった2万5千分1地形図4面は、2001年と2008年に更新しました。
5万分の1地形図「阿寒湖」(昭和59年修正)。
図8・新旧釧北峠。著名な観光地ながら、平成以降の更新は見送られた。5万分1地形図「阿寒湖」(1984年修正)を約2.3倍に拡大。
「弟子屈」(1984年修正)
弟子屈町中心部と標茶町西部。一般国道241号・弟子屈市街のルートが全面的に異なっています。作成の元となった2万5千分1地形図4面は、1999年-2001年に更新されました。
5万分の1地形図「弟子屈」(昭和59年修正)。
図9・弟子屈町奥春別。国道に「阿寒横断道路」の注記がある。5万分1地形図「弟子屈」(1984年修正)を約2.3倍に拡大。

このほか、十勝岳噴火後の防災対策が施される以前の白金温泉が描かれる「十勝岳」(1988年修正)や、積丹半島の一般国道229号が開通していない「余別」(1991年修正)など、現状より情報が古い5万分1地形図は探すとあるでしょう。実用の面では使いにくくても、今との違いを容易に比較できます。

地形図の図歴は、国土地理院の以下のページから調べられます。

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北海道の道路について調べています。詳しい自己紹介