5000番台の道道が存在する謎

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北海道には、恐ろしく大きい番号の道道があると言われます。写真1は一例です。

北海道道の路線番号は、本稿公開時点で泊共和線の1178号が最大です。ところが、北海道をクルマで通ってみると、番号表示が3000番台・5000番台の標識を見かけます。一体、どうしてなのでしょう。

写真1。道道5798号の標識。
写真1。道道798号西風連名寄線の起点に建つ標識。本来の路線番号に5000番台を冠し、ヘキサの中に路線名が入っている。2008年5月12日撮影。撮影地 名寄市風連町西風連

道道には2種類の番号があります。

  1. 整理番号。道路地図など、一般的に用いられる。
  2. 路線番号。路線コードともいい、内部文書で用いられる。代表例は道路現況調書。

北海道の道路現況調書に後者が初めて登場したのは1971年3月31日現在の版からで、「図面対象番号」という名称でした。翌1972年3月31日現在の版以降、「路線番号」に統一されています(注1▼)。

当初の区分は、次の通りでした。

  • 4000番台→主要道道。
  • 5000番台→一般道道。

1978年4月1日現在の版から、区分を現行に改めます。

  • 1000番台・2000番台→主要道道。
  • 3000番台・4000番台→一般道道。

現況調書用番号の改定時期は定かでありません。道路現況調書は1年前のデータで刊行されるため、1977年度か1978年度と考えられます。

したがって5000番台の標識は、遅くとも1978年以前に立てられたとみてよい。主要道道の1000番台と2000番台、一般道道の3000番台と4000番台の標識設置は、早くても1978年以降になります。

1976年度末時点で、道道は932号まで認定されていました。遠い将来に1000号を超すのは間違いなく、整理番号が1000番台の主要道道を認定すれば区別できないゆえ、改定したとみられます(注2▼)。

注1
1970年以前は、整理番号と無関係に「図面対象番号」が振られていた。路線は土木現業所(現・建設管理部)別にまとまって並んでいるが、基準等は不明。
注2
1000号に達したのは1982年3月31日。翌日の主要地方道指定を経て、同年9月に1011号-1020号が主要道道の認定を受けた。現在の114号-123号。1994年9月までは一般・主要の種類を問わず、認定順に番号を割り当てていた。1994年10月に番号の再編を行い、0番台・100番台を主要道道に、200番台以降を一般道道に振り分けた。

路線コードの規格

そもそも部外者には、整理番号と別に番号を設ける理由が分かりません。

他県の例を調べてみました。熊本県土木部道路保全課の『道路台帳作成事務提要』(2011年度改訂)では、道路種別を次のように分類しています(表1)。また秋田県の『路線起点終点調書』では、路線コードを次のように分類しています(表2)。

表1
区分コード
一般国道(指定区間)2
一般国道(指定区間外)3
主要地方道4
一般県道5
市町村道1級6
市町村道2級7
市町村道その他8
表2
区分コード
一般国道(指定区間・指定区間外)0
主要地方道1
一般県道3

表1の4と5は北海道が当初採用した番号区分と一致し、表2の1と3は、北海道の現行区分と一致します。

もっとも偶然の一致かもしれませんし、根拠となる文書類の有無も不明です。いずれにしろ、整理番号と路線名だけで、路線の識別は賄いきれない実態があるようです。

バラエティな標識の行方

筆者が知る限り、最も大きい番号の標識は日東東雲線の起点側に残る「5849号」で、番号の上部が「一般道道」の表記になっている点も特徴です。

3000番台~5000番台の標識は各地に残っています。ヘキサの中に路線名があるなど、変則的な標識を含め上川総合振興局管内、特に名寄・士別周辺が圧倒的に多い。

北海道建設新聞社のツイートにあるとおり、日東東雲線は新ルートが計画されており、完成後は起点側の現ルートが町道に移管される予定で、標識が消える可能性もあります。ここに限らず古い形式の標識は、いつ更新され消えてもおかしくありません。興味のある方は、見かけた時の撮影をお勧めします。

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