樽前錦岡線は樽前山の東麓を通る路線で、一般国道276号と同36号を結んでいます。もとは樽前錦岡停車場線として1966年に認定され、主要地方道指定を経て、1994年に現在の路線名となりました。
起点と終点について、告示では次のように定めています。
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写真A・1975年10月1日撮影。整備前の道道は苫小牧高専からやや離れて通過していた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、97.5%に縮小。元画像の縮尺は8千分1。
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写真B・2018年8月20日撮影。整備後の旧道道は十字路で分岐するよう改められた。錦多峰川が直線状に改修されている。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は1万分1。
前者の起点とされる「字樽前」は樽前山の南麓に広がり、錦岡地区の西・白老町に接する区域です。実際の起点は字丸山で、千歳市モラップに近い。つまり、字樽前は経由しません。主要道道昇格後も「樽前」を引き継いだのは謎で、「支笏公園錦岡線」のほうが実態に即しています。「樽前(山)」は知名度が高く、分かりやすいのは確かで、その点を考慮したのかもしれません。
道央自動車道苫小牧西インターチェンジ設置に伴い、樽前錦岡停車場線は接続路線となります。国道と接していなかった終点側のルートを変更し、高速道へのアクセス道路として整備されました。旧ルートは苫小牧高専の校門前で分岐するよう改められています。
苫小牧高専から南東へ国道交点まで進む区間は、錦岡二股通線という市道でした。1979年に道道へ昇格します。踏切に代わって建設した錦岡跨線橋は、苫小牧西インターチェンジの供用と同じ1980年10月29日に開通しました。市道錦岡二股通線は1982年に廃止され、1983年に道道は現ルートへ一本化されます。
この結果、停車場に行かない停車場線となり、そのまま主要道道へ昇格したのです。ルート変更以降、国道交点から錦岡駅前に至るルートは告示されませんでした。当時の道路現況調書を見ても、それらしい重用延長が存在しません。
図1・錦岡地区の地図。茶色の線は道道旧ルートを、赤色の線は国道旧ルートを表す。マーカーをクリックすると、該当地点の情報を表示します。 旧国道を表示 旧国道の表示を消す 初期画面へ
苫小牧高専から図1のC地点までは、市道錦多峰川通線に認定されました。錦岡地区の土地区画整理事業の完了に伴い、1994年に市道の再編が行われ、のぞみ錦岡線・のぞみ中央線・錦多峰川通に分割されています。
C地点には、道道時代から使用されている案内標識が残ります。
1979年ころに錦岡駅から現地を通った時は、左折方向に支笏湖と書かれていて、なぜここに標識があるのか不思議に思いました。ただ古い記憶なので、勘違いしているかもしれません。錦岡から支笏湖方面へ向かう玄関口でした。惜しいことに、この標識は撤去されています。
C地点からB地点までは、早い段階で市道に認定されていました。この点は後述します。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 苫小牧市字錦岡454番2地先から
苫小牧市字錦岡443番367地先まで前 9.50m から 16.00m まで 792.00m 同上 後 20.00m から 43.50m まで 789.08m 苫小牧市字錦岡443番367地先から
苫小牧市字錦岡289番地先まで前1 10.50m から 17.50m まで 2,811.50m 同上 後1 10.50m から 17.50m まで 2,811.50m 苫小牧市字錦岡443番367地先から
苫小牧市字錦岡29番36地先(一般国道36号交点)まで後2 15.00m から 65.00m まで 2,679.85m 一般国道36号重複 L = 13.50m
区間 供用開始の期日 苫小牧市字錦岡454番2地先から
苫小牧市字錦岡29番36地先(一般国道36号交点)まで昭和55年10月29日
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 苫小牧市字錦岡444番6地先から
苫小牧市字錦岡289番地先まで前1 10.50m から 22.00m まで 2,747.00m 苫小牧市字錦岡444番6地先から
苫小牧市字錦岡29番36地先(一般国道36号交点)まで前2 17.00m から 65.00m まで 2,619.42m 一般国道36号重複 L = 13.50m 同上 後2 17.00m から 65.00m まで 2,619.42m 一般国道36号重複 L = 13.50m
錦多峰川(にしたっぷがわ)は2級河川に指定されており、王子製紙や樽前カントリークラブが取水するほか、苫小牧市の水道水としても利用されます。
1970年代、錦多峰川の改修に伴って樽前錦岡停車場線の旧ルートが変更されました。
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写真C・1975年10月1日撮影。旧ルートは直線状だ。中央下に、工事中の錦多峰川新水路が見える。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。元画像の縮尺は8千分1。
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写真D・2009年9月20日撮影。錦多峰川改修後。旧河川敷の一部は宅地に変わっている。公営住宅の建て替えが進んでいた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は1万分1。
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写真E・2018年7月11日撮影。建て替えや公園・更地化で、古い公営住宅が消えた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は1万分1。
錦岡地区では1950年に国道の木橋が流出し、室蘭本線の橋梁が損壊する水害が発生しました。1960年代に入り、団地造成など市街化が進み始め、将来を見据えた水害対策に迫られます。1965年3月31日に錦多峰川を2級河川に昇格させ、1968年度より蛇行する流路を改修する事業が本格化しました。455年に1度の割合で起こりうる水害に対応し、1秒当たり350立方メートルの水量を想定しています。
用地買収を経て、1970年度より水路掘削が始まりました。旧道道の新錦橋が架設された1976年度より通水されます。引き続きブロック工事と、新錦橋より上流の工事が実施されました。2005年には、樽前山噴火で発生する泥流等の被害を防ぐ事業の一環として、錦多峰川2号遊砂地が完成しています。
市道の錦多峰橋に近い、錦岡川との合流点は1986年度に完成し、旧河川敷の一部は廃止され埋め立てられました。
図3~図6は、錦多峰川と遊砂地の整備過程です。年を追うごとに河川改修の進捗度が高まり、樽前錦岡線のルートが切り替えられたのち、遊砂地が建設されました。なお図3~図6はいずれも、0.85倍に縮小しました。
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写真F・1975年9月28日撮影。改修中の錦多峰川。国道の錦岡橋は、4車線化時に架け換えられた。室蘭本線の錦多峯川橋梁は架け換え中で、仮橋を使用している。市道の錦多峰橋は1973年度に架け換えられた。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は8千分1。
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 苫小牧市字錦岡335番1地先から
苫小牧市字錦岡351番地先まで前 11.00m から 15.00m まで 493.00m 同上 後 13.00m から 23.00m まで 550.50m
区間 変更前後の別 敷地の幅員 延長 国道等との重複区間 苫小牧市字錦岡440番12地先から
苫小牧市字錦岡482番4地先まで前 14.00m から 30.50m まで 1,084.00m 同上 後 8.80m から 72.00m まで 1,196.80m
明野の旧道のほかにも、一般国道36号の旧道は存在します。鉄道の南側を通る錦岡と樽前地区の間は、図1▲の赤い線で示すように、錦岡市街地・鉄道の北側経由でした。
ルートを切り替えた国道の告示をご覧ください。
区間 変更前後別 敷地の幅員 延長 苫小牧市字錦岡24番の2から 同市字樽前35番の2まで 前 3.00m ~ 29.10m 8.302km 同上 後 8.50m ~ 31.04m 8.141km
(注) 本文年月日は、告示年月日とする。
区間 供用開始の期日 苫小牧市字錦岡24番の2から 同市字樽前35番の2まで 昭和41年7月1日
写真G。国道の北を通る市道・錦岡樽前線。途中、妙に幅員の広がっている場所がある。かつて、旧国道が踏切へ直進していた名残りである。
では1966年に切り替えられたかというと、違うようです。
写真Hを見ると、開通済みの現ルートが確認できます。
現ルートの測量調査は、1957年度に実施されました。
また区間内に架かる橋梁3か所のうち、橋長 25m の樽前橋は1959年度に架設されたことが判明しています(注1▼・注2▼)。
以上の事実から、ルート切り替えは1960年ころに行われた可能性が大きい。今のところ、年月日を特定できる文献は未発見です。
旧国道は市道錦岡樽前線に移管されました。市道認定は1966年です。
同年9月9日の臨時市議会の席上、当時の苫小牧市土木部長は「36号線を改良いたしまして切りかえて国道が廃止された部分でございます」と、錦岡樽前線の説明をしています。現ルートは開通から告示まで数年の空白が生じており、旧ルートは引き続き国道として管理されていたのでしょう。
旧樽前ハイランドや樽前ガローへ通じる市道踏切は、「旧国道36号線踏切」の名称がついています(注3▼)。しかし写真Eを見ると、旧国道の踏切でないのは明らかです。写真Dに面影を留めています。
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写真H・1963年4月27日撮影。現国道は開通済みである。踏切が隣接し、旧国道から樽前地区へは室蘭本線を2度渡らないと入れなかった。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミング。縮尺は2万分1。
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写真I・1976年10月5日撮影。旧国道の跡は、まだ明瞭に残っている。市道に見えるアーチ形の建造物は、TBS樽前ハイランドへの案内看板である。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、57.7%に縮小。元画像の縮尺は1万分1。
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写真J・2018年6月15日撮影。旧国道跡は鉄道北側のT字型分岐を除きおぼろげに識別できる程度で、地上から視認するのは難しい。4車線化工事が始まっている。国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より引用。解像度 400dpi の写真をトリミングし、50%に縮小。元画像の縮尺は1万分1。